【マンガ】がん保険は不要?インフルエンサーの主張に反論します

【4コマ】がん保険は不要?インフルエンサーの主張に反論します

 

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イラスト:うーさん。

 

マネージャー
マネージャー
ちなみに傷病手当金で保障されるのは毎月の給与の2/3。ボーナス部分は反映されないって知ってました?

 

最近、SNSやブログメディアで、「がん保険をはじめとする医療保険は不要」と主張する人を多く見かけるようになりました。

その根拠はどれも、「お金のリテラシーを高めよう!」と啓発するインフルエンサーの書籍・動画から引用されたものです。

 

しかし、インフルエンサーの意見を鵜呑みにするのは、保険会社の営業トークをそのまま鵜呑みにする行為と同じようなものです。

残念ながら、保険を解約してネット証券口座を開いてもお金のリテラシーが高まることはありません(ましてやFIRE/経済的リタイアなんて…)。

 

そこで、今回はインフルエンサーの主張に反論・解説してみたいと思います。

1)インフルエンサーが主張する「がん保険が不要な理由」とは?

インフルエンサーと呼ばれる人たちが「がん保険は不要」と主張する理由は下記の通りです。

 

①日本人はみんな世界最強の保険(健康保険)に入っている
②高額療養費制度があるから治療費はそんなにかからない
③先進医療保険は不要
④保険会社は、保険営業をする際、しっかりと社会保障制度を説明していない
⑤食事代や消耗品は健康でもかかる(笑)
⑥そもそも2人に1人ががんになるのは80歳を過ぎてから。

 

まとめると、がんになる確率はすごく低いし、がんになっても健康保険をはじめとする社会保障制度があるから民間保険は不要というものです。

はたして、これらは本当でしょうか?

がん保険が不要と言える根拠になっているでしょうか?

 

①日本人はみんな世界最強の保険(健康保険)に入っている

健康保険があればがん保険は不要なのでしょうか?

(そもそも“世界最強“という根拠は?)

さらに、少子高齢化などによりそう近くない将来、その日本の医療保険制度が崩壊してしまう可能性があることをご存知でしょうか?

 

以下の記事では、がん治療で役に立つ公的保障制度、そして民間保険の必要性について解説しています。

 

関連記事:「健康保険などの公的保障制度があれば、がん保険は必要ない?」

 

②高額療養費制度があるから治療費はそんなにかからない

高額療養費制度によって医療費にかかる限度額は月/約9万円程度になります。

しかし、がんは1か月で治る訳ではありません。

例えば、乳がん再発防止のためのホルモン治療では、5年以上通院することも一般的です。

また、高額療養費制度により負担が減るのは、健康保険が適用となる医療費だけです。

 

関連記事:「ゼッタイ知っておきたい高額療養費制度」

 

③先進医療保険は不要

先進医療を受ける機会が少ないのは事実です。

しかし、その分、先進医療保険(特約)は格安な保険料となっています。

また、先進医療保険不要=がん保険不要という理論はおかしな話です。

 

④保険会社は、社会保障制度を説明していない

そういう保険営業マンもいるかもしれませんが、そうでない保険営業マンも多くいます。

実態としては、「説明はしているけど、説明を受けた側が興味がないから、覚えていない」…これが大多数なのではないでしょうか。

また、「(たまたま出会った)保険営業マンが信用出来ないから、今後、保険に入らない」という人が、本当に金融リテラシーの高い人と言えるのでしょうか?

保険営業マンが社会保障制度を説明しないのであれば、自分で調べてネットのがん保険に加入すれば良いという話です。

 

⑤食事代や消耗品は健康でもかかる(笑)

がん治療には、健康保険が適用とならない費用として入院中の食事代・消耗品などがかかります。

また、ウィッグ(抗がん剤治療の場合)や差額ベッド代などもかかります。

さらに治療に専念することで、収入も減ってしまう可能性があります。

保険営業のシーンでは、これらをカバーするためにがん保険をオススメすることが一般的です。

しかし、インフルエンサーの主張は「食事代や消耗品なんて健康でもかかるやん(笑)」と突っ込んでいます。

たしかにその通りですが、食事代・消耗品というのはかかる費用の一例として挙げらているものなので、そこを突っ込むこと自体が適切ではありません。

 

関連記事:「がん」にかかる治療費を知る

⑥そもそも2人に1人ががんになるのは80歳を過ぎてから。

「日本人の2人に1人ががんになる」と言って保険営業するのは詐欺のようなものだ!と訴えています。

たしかにそのような“脅し”を使って保険営業しているシーンがあったのは事実だと思います。

しかし、10代でも20代でも30代でも、がんにかかる人はいます。

「保険営業マンがムカつくから、保険に入らない」という極論に至る人は、やはり、金融リテラシーの高い人とは言えません。

 

2)実は、インフルエンサーも「医療保険が必要な人」の条件を説明している

保険会社・がん保険をボロカスに言っているインフルエンサーも、実は、「医療保険が必要な人」についてその条件を説明しています。

それは、「最低限の貯金(100万円くらい)すらない人」です。

インフルエンサーは、最低限の貯金(100万円くらい)すらない人は医療保険も必要!と主張しています。

 

さて、みなさんは100万円くらいの貯金、今、ありますか?

ちなみに統計によると、20代の預貯金額の平均額は77万円だそうです。

出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](2020年)

 

貯蓄によっていざという時の治療費をまかなうという考え方ですが、これは決して間違いではありません。

貯蓄が十分にあれば、それで全く問題ありません。

でも、大切なポイントは、本当に十分な貯蓄があると言えるのか?ということなのです。

 

若い世代にとっての貯蓄は、老後資金・投資資金・結婚資金・健康・美容・子育て資金・夢や目標のための資金…様々な使い道があるはずです。

その大切な貯蓄を、いざという時の治療費として使って良いのでしょうか?

いざという時のリスクを回避するために、保険という仕組みを賢く活用できることが本当に金融リテラシーの高い人と言えるのではないでしょうか?

 

3)インフルエンサーの主張を鵜呑みにしてはいけない

インフルエンサーたちは、“宝くじ”のようにお金を受け取れる確率が低い保険商品を解約してしまい、投資信託・NISA・iDecoなどの投資に回しましょう!と主張します。

しかも、特にがん保険などは、「保険会社の巧みなトークによってお金儲けのために販売されており、本来は不要な保険」として紹介しています。

 

そして、彼らの主張に不安喚起された人たちは、保険を解約した後、SNSで嬉しそうに「保険を解約しました~」と報告。

さらに、そのSNS投稿を見た人たちは“いいね👍”やリツイート、賛同コメントをリプライ。

こんなやりとりを見ていると、まるで彼らは、保険を解約すること・それを支持すること=金融リテラシーが高いことの証明…のように考えているようにも思えてきます。

 

しかし、残念ながら、保険を解約してネット証券口座を開くだけでお金のリテラシーが高まることはありません。

本来リスクに備えるために契約した保険を解約して、それをそのまま投資にまわすのは、リスクにリスクを重ねる行為に他なりません。

 

もちろん、がんにかかる治療費や節約・投資に関心を抱くことはとても良いことです。

ただし、インフルエンサーの主張を鵜呑みにして保険解約し投資商品を購入するのは、保険会社員から言われるがままおすすめの保険プランに入るのと全く同じ構図ではないでしょうか?

 

大切なことは、自分自身や世帯の経済状況(収入・支出・貯蓄・ローン等)に合わせて、本当に必要な保険は何か?を考えることなのです。