1冊50万円!?伝説の生命保険セールス・原一平の『外野ひとすじ』を読んでみた

当サイトでは、保険に関する書籍を不定期で紹介しています。

今回紹介するのは、『外野ひとすじ ~セールスに賭けたわが人生~』/著:原一平(保険毎日新聞社)です。

ただし、”紹介する”と言っても、この書籍、残念ながら、今や簡単に手に入れることは出来ません。

Amazonで検索をしても、取り扱いされていないと表示されるか、500,000円(!?)といった表記もあり、本当に取引されているのかすら怪しいところです。

 

しかし、それだけ価値のある書籍であることは間違いありません。

と言うのも、この書籍の著者・原一平(はら いっぺい)氏は、現代の日本の生命保険セールスの礎を築いた人物だからです。

 

果たして、その内容とは!?

現在、保険セールスや生命保険業界で働いているビジネスパーソンは必読!
文末には、原一平氏の名言も記していますよ♪

ぜひ、この記事をブックマークしてから読んでいただくことをオススメします。

 

スポンサードリンク



伝説の保険セールス・原一平とは?

『外野ひとすじ』の書籍紹介の前に、まず著者である原一平氏がどのような人物なのか、少しだけ触れておきたいと思います。

昭和天皇・マッカーサーにまで保険を勧めようとした人物

原一平氏は、明治生命(現在の明治安田生命)の伝説の生命保険セールスマンです。

生まれは明治37年(!?)…なので西暦1904年9月27日に長野県に生まれます。
1904年と言えば、ロシアのバルチック艦隊を撃破した日露戦争の時代…まさに歴史上の人物と言えるでしょう。
そして、昭和5年(1930年)、25歳のときに、明治生命に入社します。

どのような業界にも、伝説的なエピソードを持った営業マンはいるものですが、彼は間違いなく伝説のセールスマンです。
圧倒的なバイタリティで、圧倒的な営業成績を残し、財界との人脈を武器に、昭和天皇やマッカーサーにまで保険を勧めようとした…という、まさに保険業界の域におさまらない伝説的な人物なのです。

MDRT日本会の設立に貢献

原一平氏は、生命保険業界で働く人であれば、誰もが知る世界的な組織・MDRT(Million Dollar Round Table)の日本支部の設立を提唱した人物でもあります。

このMDRTは、特に優秀な成績をおさめた人しか加入することができない組織で、現在の日本においても、生命保険セールスマンであれば誰もが加入を憧れるもの。その礎を築いた人物こそ、この原一平なのです。

また、こちらも知る人ぞ知る日本の生命保険業界の有名な組織・JAIFA(ジェイファ…公益社団法人 生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会/Japan Association of Insurance and Financial Advisors)の設立者でもあります。

日本がバブルの時代には、世界に於いて”ザ・セイホ”と呼ばれるほど巨大な影響力を持つこととなった日本の生命保険業界を築き上げた人物なのです。

原一平の『外野ひとすじ』とは?

そんな偉大な人物・原一平自身による著書が、『外野ひとすじ ~セールスに賭けたわが人生~』です。

明治安田生命では、彼の書籍がセールスマンにとっての教科書にもなっているほどです。

初版は昭和41年7月。
今回、私が手にしているのは第11版で平成15年の発行のものです。

 

 

タイトルの“外野”とは、生命保険セールスのことを指します。

保険業界では、セールス部門のことを外野と呼び、セールスマンは”外野人”とも呼ばれていました。
現在では、外交員と言うほうが一般的ですね。ちなみに野球の外野とは関係ありません。

今回は、その概要と印象に残った名言を紹介したいと思います。

●書籍の構成

書籍の内容をざっくり要約すると、以下のような構成になっています。

前半は、原一平氏の保険セールスマンとしてのデビューから、セールス手法の基礎を築き上げた当初のエピソードが具体的に記されています。

そして、中盤以降は、保険セールスにおける原一平流の”見込み客”についての考え方、セールスマンとしての”姿勢”が具体的に記されています。

一般的に営業系の本は、著者の武勇伝や心構えというものが多く書かれていますが、この『外野ひとすじ』もそのスタイルです。

原一平氏の場合、紹介されている話はどれも武勇伝のような話ばかりなのですが、それぞれのエピソードがストーリー仕立てで具体的に書かれており、その行動の根源となる心構え・心の磨き方についてもストーリーとして丁寧に書かれています。

原一平氏のセールスパーソンとしての心構え・行動力には、セールスマンであれば、時代を越え、誰もが刺激を受けることでしょう。

それでは、具体的な内容をいくつか紹介していきましょう。

原一平氏の保険セールスマンデビュー

原一平氏は、明治生命に入社する以前から変わり者であったことを自身で紹介しています。

そもそも明治生命へ入社した時のエピソードから普通ではありません。
明治生命で働こうと考えた25歳の原一平氏でしたが、保険のセールスは難しい職業であることを理由に、面接官からは「お前にはムリ」と言われ入社を断られてしまいます。

しかし、ここであきらめないのが原一平。

原氏は、「月1万円(の保険契約を)つくります!」と、面接官に宣言。
それでも、面接官は、どこの馬の骨とも分からない若者に対して入社を認めることはありません。
ちなみに月1万円というのは、当時で600万円くらいのお金です。

さらに原氏は、「月給はいらない」と宣言し、なんとか見習いとして採用を許してもらえることになりました。
ただし、入社後は、会社の机も自分自身で用意したと言います。

普通では考えられない、なんとも破天荒なエピソードですが、自分だけが座る城郭ができたような気がして、とても良い気分だったと原氏は当時を振り返っています。

自身を「執着心や愛着心が強い」と言う原氏を象徴するエピソードですが、“原一平は、この宇宙にただ一人だ”と抱く気持ちが、セールスマンとしての原氏を強く育ていったと言います。

いきなり背水の陣…どのようにコミットしていった?

なんとか明治生命に入社できたものの、面接の際、「月給はいらない」と宣言した原氏。

さらには、「月1万円つくります」とコミット。

お金がないので、ご飯は食べられない・電車には乗れない・新しい服は買えない…
終いには、下宿先の家賃も払えず、公園暮らし!

さすがに、これだけ困窮しながらも、保険セールスという職業に強いこだわりを持っていた人物は、後にも先にも、この原一平氏くらいなのではないでしょうか。

いきなり背水の陣となった原氏でしたが、彼は、とても前向きな性格でした。

同僚がお昼ご飯を食べているなら、その分、自分は仕事をしよう。
電車で帰れならば、歩きながら家を1軒1軒訪問していこう。

ピンチをチャンスに変えた原一平氏は、1か月目で月1万円の保険契約という高い目標を見事にクリアしてしまいます。

人生とは〇〇〇によって決まる

目標にコミットしても、すぐに裕福な暮らしが出来た訳ではありませんでした。

下宿先の家賃が払えず、都内の公園で野宿をしていた原氏は、毎朝早く起きて仕事に向かっていました。
早く起きていた…と言うよりは、早起きせざるを得なかったというのが正しいでしょう。

しかし、その毎朝早起きしている姿が、ある日、有名な料亭の主人の目に留まります。

そして、そのご主人との縁がきっかけで町内の人たちを紹介してもらい、保険契約につなげることができたそうです。

原氏は、このエピソードから、”運”の大切さを述べ、また、下記のような言葉を残しています。

“人生とは、私たちの前を通り過ぎる偶然へいかに食いついていくか?その食いつき方の姿勢によって決まる”

己を知る

ある日、原氏は、保険契約を期待しながら、神奈川県にある総持寺というお寺を訪問することなり、そこで出会った和尚さん言葉によって、大きな変化・成長をしていきます。

「人間を作るということは、まずは自分を知るということだ。君はいったい自分がどういう人間か分かっているのか?」

和尚さんから投げかけられた言葉に対して、原氏は、「人の保険を考えるよりは、まず自分を知り、自分を考えなければいけない」と考えるようになったと言います。

自分の弱さ・悪さに気づかず、虚勢で他人に勝ったと自分に溺れてしまってはいけない。”自分を知る”ということが保険セールスの一歩である…と考えるようになった原氏は、自分の契約者を集め意見を聴くという「原一平批評の会」を開催するようになります。

そして、心を磨き上げながら、保険のセールスに没頭していった原氏は、やがて財界の大物との人脈を持つようになり、伝説的なセールスマンとなっていくのでした。

 

『外野ひとすじ』に書かれている名言

『外野ひとすじ』には、現代にも通じる、保険セールスマンとして大切な言葉がたくさん記されています。

最後に、その一部を紹介しましょう。

 

(「今日アポイントがない/訪問するところがない」という人に対して)『セールスマンでこういうことを言う人は、「私はセールスマンの資格がないのです」と自分で言っているようなものである。

基本姿勢をまず作らなければ、スタートラインに立つことはできない。

 

セールスマンとして完成するためには、まずその精神のあり方。

そこから出てくる人間としての姿勢の築き方が、その出発点でなければならない。

セールスは障害にぶつかったところからが勝負である。

むしろそこから始まる。相手が「断る!」とくると、反射的に「よし来た!」という気持ちをになる。この気持ちを無くした人は、セールスマンの資格はない。

 

肝心なことは、その見込み客に対して、間髪を入れずにこちらから突破していくことある。

自分の行動を起こすことだ。当たって砕ける、相手にぶつかっていって、加入しないと言われても、別に命まではとられない。

その時は「お邪魔しました」と言って帰ってくればいい。

その覚悟で真剣に当たっていれば新しい道が自然にひらけてくるものである。

 

 

ということで、今回は、伝説の生命保険セールス・原一平氏の『外野ひとすじ ~セールスに賭けたわが人生~』について紹介しました。

原一平氏は、保険業界でセールスをしている方はもちろん、ビジネスマンにとってはとても刺激的なエピソードを持っている人物だったのではないでしょうか。

当サイトでは、今後も、保険に関する書籍や人物を紹介していきます。