【実録】保険会社員が副業を始める前に必ず知っておきたい注意点5つ

 

保険業界は、2022年以降、副業解禁の波がやって来るとされています。

2021年に入り、生命保険会社では第一生命が副業を解禁、損害保険会社では東京海上日動が副業を推奨するなど、大手保険会社の副業解禁の動きは、今後、確実に業界全体に広がるとされています。

しかし、このような動きに対して、不安や疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?

自分には特別なスキルもないし、どんな副業を始めたらいいか分からない

自分の所属してる部署には副業してそうな人もいないし、正直、自分にはあまり関係ないでしょ?

そもそも自分の部署って、まだ副業しちゃいけないんじゃないの?調べたことないけど…

 

…というように「副業」と聞いても、なかなか具体的なイメージが湧いてこない人は少なくないはずです。

何を隠そう、私自身もそんなひとりでした。

 

私は現在、保険会社のグループ会社で働く現役サラリーマンですが、今年の春、兼業届出を行い、会社公認で当サイト「芸能人のがん闘病から学ぶ!がん保険の教科書」(☞リンク)の運営を行っています。

このサイトは、個人が運営するまだまだ弱小のサイトではありますが、現在(2021年7月)までにアクセス約300万PV(ページビュー)を獲得し、インターネット広告収益も得ることができています。

文句なしのスタート…と思いきや、現実はそう簡単にうまくいくものではないと感じながら、日々サイトのプランを検討しています。

 

そこで、この記事では、これから副業を始めようと検討している保険会社のサラリーマンの方に向け、保険会社における副業解禁の状況、そして、私自身の実体験も織り交ぜながら、初めての副業を失敗しないための注意点について解説します!

1.保険会社における副業解禁の状況

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(1)保険会社の副業解禁・推奨…その背景は?

初めての副業を失敗しないための注意点をお伝えする前に、まずは、保険業界における副業解禁の状況について確認していきましょう。

そもそも、保険会社が副業を解禁・推奨をすることに至った大きな理由は、政府が推進する働き方改革に対応するためです。

厚生労働省は、2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表し、企業で働くサラリーマンであっても、人生100年時代に備えるために、若いうちから副業・兼業を行うことで将来の選択肢を広げることを推奨しています。

―出典:厚生労働省:「副業・兼業の促進に関するガイドライン」

しかし、保険会社は、個人法人の金融資産・個人の健康状態や事故トラブルといったセンシティブな情報を取り扱う職業ということもあり、コンプライアンスには特に厳しい業界。

2016年には保険業法の改正、インターネットやSNSの普及に伴う情報漏洩対策強化などの背景もあり、以前にも増して業界全体がよりコンプライアンス強化を図っていく空気もあります。

実際、厚生労働省の調査でも、金融・保険業で副業している人の割合は6.4%。これは、製造業の6.0%に次いで2番目に低い数字となっています。

大手保険会社だからこそ副業解禁によるリスクなどを想定し躊躇するのは当たり前の対応とも言えるでしょう。

 

それでも、2021年になり、保険会社が副業の解禁・推奨に至った背景には、国の働き方改革に対応するためといった消極的な姿勢だけではなく、会社が抱える個別の悩みを解決する手段の1つという前向きな側面もあったのではないかと推察することができます。

というのも、企業が副業を解禁するメリットには様々あり、その中には“副業を解禁すると、離職率が下がる”といった分析もあります。

そして、ホワイトな印象のある保険会社ですが、意外にも、毎年のように就職人気企業ランキングの上位に入る東京海上日動でさえ、入社3年以内の社員の離職率は30%と決して良い数字ではありません。

―出典:採用担当者が語る(東京海上日動ホームページ)

保険業界は、“前へならえ”“横にならえ”の気質が強い業界なので、大手の保険会社が副業を解禁して大きな問題がないことを確認できれば、すぐに他の保険会社も制度として採り入れることが容易に想像がつきますよね。

 

(2)副業・兼業を認めている保険会社

それでは、現在、副業を解禁している保険会社はどれほどあるでしょうか?

また、副業を解禁している保険会社は、制度導入に対して、また副業をする社員に対してどのようなことを期待しているのでしょうか?

2021年7月現在、副業解禁していることを対外的に公表しているのは、下記の保険会社です。

東京海上日動

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東京海上日動は、2021年1月、全社員約1万7千人を対象に、副業を推奨することを発表しました。

副業の“解禁”ではなく“推奨”という点で、このニュースは、当時、大きな話題となりました。

“社外副業には、普段とは異なる業務に挑戦し新たな人脈構築や多様な経験を積むことができ、社員一人ひとりの成長につながるものがある”として、社外副業への挑戦する人材の後押しをする体制を整えることを表明。

具体的には、社員から副業の申出があった場合、所属長は柔軟に副業の承認を検討するといったガイドラインなどが設けらているそうです。

参考:東京海上日動HP:社員の挑戦を支える「社外副業」の効果的な活用へ

第一生命

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第一生命ホールディングスは、2021年4月より、大手の生命保険会社としては初めて副業を解禁しました。

勤務時間外にフリーランスや起業などの形態で働くことを認めるものの、営業職員は対象外・他の企業で働くことは禁止…といった条件などもあるようです。

具体的には、ITエンジニアや金融知識を生かしたセミナー講師といった職種を想定しているとのことで、副業によって得た専門知識や人脈を本業に活かしてもらうことが狙いです。

参考:JIJI.com「第一生命HD、副業解禁 1万5000人対象―大手生保初」

大同生命

 

大同生命は、2021年4月から「チャレンジ・サイドジョブ(副業)制度」を導入し、副業を解禁しました。

この制度は、“スキルの向上、新たな知識の習得、視野・人脈の拡大”や“挑戦心・自律性の醸成”、そして“社会貢献”を目的として副業を承認するものです。

大同生命がユニークな点は、“可能な副業の具体例”を明示している点です。

その具体例としては、「スタートアップ・中小企業等の企業や地方自治体からの委託業務、資格や知識を活かした大学・各種会合等での講演、知識や経験を活かした書籍等の出版・執筆、芸術的な能力・趣味を活かした職務(写真家・イラストレーター・ピアノ講師等)、スポーツの審判員、ヨガ・各種スポーツのインストラクター」としています。

尚、他社との間で雇用契約を結ばない業務であることも条件としています。

参考:日本経済新聞「大同生命、「チャレンジ・サイドジョブ(副業)制度」を導入」

ライフネット生命

 

インターネット生命保険会社の先駆けであるライフネット生命は、2018年5月から、パラレルイノベーター採用(複業採用)という制度を取り入れています。

この制度は、複業(副業)を、“社外での挑戦と成長の機会”と位置づけ、会社だけでは得ることができない経験を通して成長・スキル・ノウハウの獲得を支援し、本業へより一層の貢献を期待する制度です。

この制度によって採用された社員は、出勤日数を週3~4日とするなど、積極的に“複業”に注力できる環境を整えています。
参考:ライフネット生命HP

3)自分が働いている組織が副業解禁していなかったら?

さて、ここまで読み進めていただいた方の中には、「自分が働く保険会社は、やっぱり副業禁止かぁ」と、ちょっとガッカリした方もいるかもしれません。

しかし、上記は、あくまでメディアで対外的に副業解禁を公表している企業です。

実は、上記以外の大手保険会社でも、副業・兼業を認めている会社は少なくありません。

大々的に制度として従業員に公表していなくても、相談や申請があれば個別に判断し対応している…というのが多くの企業での実態なのではないでしょうか。

かく言う私も、自身が働く組織が副業・兼業を認めていることは知らず、人事担当者に問い合わせをして初めて兼業規定があったことを知りました。

そのため、副業に興味のある方は、まずは自身が働く組織の規定をしっかりと調べてみることをおすすめします。

 

2.保険会社員が副業を始める前に知っておきたい注意点

 

副業を始めようと考えている人の中には、自分はどんな副業をしようかな?と迷っている方も多いことでしょう。

現在は副業ブームなので、インターネットで「副業 おすすめ」といったキーワードで検索すればたくさんの有益な情報を得ることができます。

また、どんな副業がおすすめかは、個々の目的・稼ぎたい金額・投資できる金額や時間にもよっても異なるので一概には言えません。

しかし、どんな副業を行うにせよ、会社に副業申請したり、実際に副業を行っていく上では、事前に知っておきたい注意点があります。

注意点(1):保険会社が認める副業には特徴がある

保険会社が認める副業には特徴があります。

それは“本業へのリターンがある副業”という点です。

副業を認めている保険会社は、いずれも副業で得た人脈・知識・スキルを本業で活かしてもらうことを大義名分として認めています。

そのため、どのような副業がオススメなのか迷っている方、もしくは、この副業は大丈夫かなと悩んでいる方は、本業へのリターンがあるとアピールできるか?という視点を持って副業選びを行うことが大切です。

例えば、最近の副業トレンドでは下記のようなものが挙げられますが、いずれも本業へのリターンが期待できるスキルを身に着けることができます。

ジャンル主な副業身に着くスキル
webサイト運営アフィリエイト、オンライン販売webマーケティング知識、ライティングスキル、商材に関する知識
執筆業務webライター、ブログ、web書籍出版文章スキル
動画編集YouTube動画編集スキル
プログラミングwebサイト作成、webコンサルティングプログラミングスキル

 

私自身は、副業申請の書類に業務内容や目的を記載する際、サイト運営を通して、保険業界の知識・パソコンITスキル・保険業界の方たちとの人脈が得られていることをアピールすることで、すんなりと申請が通った…という印象を持っています。

もちろん、その裏では、私の上司と、さらに上の上司たちが、人事総務部に前向きな働きかけをしてくださっていることも、ちゃんと認識していますので、上司の皆さまには感謝の気持ちしかありません。

特に最近では、保険会社は「DX(デジタルトランスフォーメーション)」に力を入れていますので、ITスキルが身につく副業を選ぶなど、業界や会社のトレンドを抑えた上で申請を行うと上人してもらえる確率は高まります。

参考:こんな副業はどうなの?

認められやすい副業がある一方で、最近流行のウーバーイーツなど、会社から否認されてしまう可能性が高い副業もあります。

「配達を行う事で、どのようなスキル・知識が得られて、会社に対してどのような還元が期待できるのか?」と問われ、会社が納得するような答えを出せるかは微妙です。

ただ、この辺りもアイディア1つではないか?…というのが私の個人的な考えです。

例えば、保険会社員であれば、自転車保険の大切さを訴えるめにウーバーイーツ配達員をしながら、交通マナーの啓もう・自転車保険の大切さ・労災・収入保障などに関する知識を発信するブログを立ち上げてみるとか…。

多くの仕事は、アイディア次第で、本業への直接的なリターンが得られることをアピールすることが可能だと思っています。

つまり、「自分が働く会社組織では、今、どのような事が期待されているのか?」という視点も持ちながら副業届出を提出することがポイントです。

注意点(2):会社側が副業について気にしているのは労働時間

従業員の副業を認める場合、会社側・経営側が気にしなければいけないことが労働時間の問題です。

労働基準法では、会社は、社員に対して、(1)週40時間を超えて労働させてはならない(2)1日8時間を超えて労働させてはならない…といったルールがあります。

そして、会社は、副業をしている社員についても、この労働時間の上限を管理しなければいけないことになっているのです。

そのため、副業届出を行う場合は、業務内容に加え、必ず労働時間についても申告する必要があります。

 

注意点(3):承認後はより一層のコンプライアンスが求められる

副業が承認された後、基本的には、会社は個人の副業の進捗や結果について細かな監視をすることはないでしょう。

しかし、保険業界であれば、副業について、より一層のコンプライアンスが求められることは言うまでもありません。

当然のことながら、本業で知り得た機密事項や個人情報を一切漏洩させないこと、会社の信用を傷つけないことなどが求められます。

副業届出の際は、コンプライアンスに関する誓約書などにサインをすることになります。

 

特に、個人名を出してインターネットサイト運営やSNSを通じて発信をする際には十分に注意が必要です。

ここだけの話ですが、私自身も、副業届出をするにあたって過去に投稿したweb記事をいくつか削除したりといった準備をしました。

例えば、過去には少しでもアクセス数を稼げればという気持ちで、「生保レディは本当にエ〇いのか?」というタイトルの記事を公開していましたが、副業申請の際に削除しました。

この記事は、生命保険営業の歴史について解説をした真面目な内容だったのですが、“このタイトルを会社の同僚や上司や部下が見たら、どう思うか?”という視点で考えれば、削除するのが賢明と判断しました。

ましてや、ハラスメントに厳しい保険会社ですから、どんな風に後ろ指をさされるかわかりません。

 

副業を公認してもらうことは、裏を返せば、>会社の人たちに対してプライベートでの個人の想い・考え・行動もオープンになってしまう可能性があるということです。

つまり、副業を行う上では、本業での信用を落とすようなリスクがないか?ということを常に念頭に置いておく必要があるのです。

 

注意点(4):所得が20万円を超える場合は確定申告を

副業であっても、所得が20万円を超える場合、確定申告をしないと脱税行為となってしまいます。

 

ここでいう「所得」とは、収入から経費を差し引いた金額のことをいいます。

例えば、毎月3万円の副収入があった場合、1年間で収入は36万円(3万円×12か月)となります。

そして、その収入を得るために仮に16万円の経費がかかった場合、所得は20万円(※)ということになり確定申告が必要になります。(※)36万円(収入)-16万円(経費)=20万円

 

確定申告は、1月1日~12月31日の所得を計算し、翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告を行います。

生命保険の募集人の方の中には、自身で確定申告を行っている方もいますが、多くの保険会社員は自身で確定申告を行う機会はありません。

私自身も、会社に副業を申請する前は、この確定申告が不安のタネでした。「確定申告をしないと会社にばれるのか?」といった不安もありましたが、税理士の方の無料相談などでアドバイスをもらいながら確定申告をすることにしました。

最初は不安で面倒なことも多いと感じる方も多いことと思いますが、いざやってしてまえば、すべては良い経験となるものです。

 

ちなみに、私が行っているインターネットビジネスでは、主な収入はインターネット広告です。

では、経費にはどんなものがあるかと言うと、毎月のインターネットのレンタルサーバー料金、ライターの方やwebデザイナーの方への発注費用などが経費となります。

注意点(5):副業にはリスクがあることも十分に心得ておく

会社から副業が認められていたとしても、少なくとも保険業界においては、副業は一般的なものではありません。

 

もしあなたが副業をしている事がオープンになった場合、決して良い視線を送る人ばかりではないということを認識しておく必要があります。

もちろん、褒めてくれる人や尊敬の気持ちを持って接してくれる人もいるかもしれませんが、社内はもちろん、取引先の人にもそうではない人も一定数はいるはずです。

「なぜ保険会社という安定的な企業で働きながら、わざわざ副業をしているのか?」…こんな疑念を抱かれることも想定しておく事が必要です。

 

また、副業をどんな副業を選ぶかにもよりますが、副業とは言え、お金を稼ぐ以上はプロとしての対応が求められます。

結果が出るためには時間もかかりますし、金銭的な投資も必要となる場合も多々あるでしょう(私自身も、会社のボーナスを、ほぼ全部、副業のための投資につぎ込んだ事もあります…)。

副業を始めたけど思うような収入が得られない、場合によってはマイナス…なんてことも十分にあり得ます。

 

しかし、このようなリスクだけでは副業をやらない理由にはならない…と私は考えています。

といううのも、そもそも保険会社ほど雇用が安定的な業界はありません(保険募集人の方はとてもハードですが)。

また、他の業界に比べれば、労働時間もしっかり管理されていてこの上なくホワイトです。

副業を大きく成功させるためにはある程度の時間・資金も必要となるので、保険会社員ほど副業に向いている環境を持っているサラリーマンは、他にないでのはないか?と思うくらいです。

 

副業を継続していくためには、本業や生活への支障をきたさないかといったリスク管理もとても大切になりますし、そのような経験そのものがビジネスマンとしての成長にもつながり、結果的に、本業にも良い影響が出てくるのです。

 

まとめ:今から副業への第一歩を踏み出そう

 

さて、今回は、保険会社における副業解禁の状況、そして、初めて副業を失敗しないためのポイントについて解説しました。

本記事でも解説したように、保険会社は副業をする社員を成長や挑戦に積極的な社員…といった位置づけをしています。

つまり、副業は、お金やスキルの獲得だけでなく、上手にアピールをすることができれば本業の評価にもつなげることができるのです。

 

また、副業は国が推進している政策であり、大手保険会社も副業を推奨しはじめているので、まもなく保険会社でも副業が当たり前の時代が訪れます。

もちろん、実際に保険業界で副業が当たり前のように浸透している状態になるのは、もう少し時間がかかるかもしれません。

しかし、最近リモートワークなどで出社をしなくたった同僚たちの中には、すでに空いた時間を活用して副業を始めている…という方もいるかもしれません。

もう少し時間が経ち、気づいた頃には、同期・先輩・後輩、もしくはピカピカの新入社員が、すでに副業で月に数十万・数百万と稼いでいるという可能性も十分にあり得ます。

 

まずは自分が勤めている保険会社組織の副業規定を確認し、副業への一歩を踏み出しましょう。

 

記事:うっちー