人事総務、必見!「入社1年目の教科書」メルカリ騒動…加害者の手記
こんにちは、うっちー(@uchi3333)です。
自然災害や異常な猛暑が続いた今夏、ツイッターに投稿された1つの呟きによって、水面下で日本全国の人事総務部で働くサラリーマンたちを震え上がらせていたことをご存知だろうか?
その投稿とは、40万部を超えるベストセラーとなったビジネス書『入社1年目の教科書』(著・岩瀬大輔)が、フリマアプリのメルカリで大量出品されており、その出品者の多くは、この本を会社の人事総務部から送られ迷惑していた…というものだ。
人事課から送られたというゴミがメルカリでリサイクルされている。エコい pic.twitter.com/WWrEBdQWQn
— カバ@iOSDC前夜祭トラックB (@tikidunpon) 2018年7月3日
この投稿は多くの反響を呼び、ネットニュースにも取り上げられるなどの話題になった。
サラリーマンの中には、そのニュースを知りドキッとした…という方もいるのではないだろうか?
何を隠そう、私自身も、過去にこの本を入社1年目の新入社員に送った人事担当のひとり。
そう、私は、まだまだ希望に満ち溢れている新入社員に、ゴミを送りつけていた人間なのだ。
しかも、1人ではなく多くの入社1年目の新入社員に送っているから質が悪い。
さらに、気持ちを込めた自分の贈り物が、メルカリで安価に売られているのだからダブルショック。
今回は、このような悲劇が二度と繰り返されないよう、私自身が『入社1年目の教科書』を新入社員に贈ってしまったその理由を手記として紹介したい。
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目次
『入社1年目の教科書』って何?
そもそも『入社1年目の教科書』は、2011年に発売されたビジネス書。
仕事で大切な50の原則が、大学を出たばかりの新入社員でも分かりやすく理解できるように書かれている。
また、これを読む先輩社員たちも、“うんうん”と共感できる内容で、現在まで40万部を超えるベストセラーになっている。
著者は、日本初のインターネット生命保険会社・ライフネット生命を立ち上げた岩瀬大輔氏だ。
岩瀬氏は、東京大学法学部出身。東大卒業後は、アメリカのコンサルティングを経て、ハーバード経営大学院に留学するなど、エリート中のエリート。
保険業界で働く人なら理解できると思うが、厳しい金融庁の管理下に置かれている生命保険会社を新たに立ち上げるなど普通はできない。そんな敏腕ビジネスマンによって分かりやすく書かれた本が、この『入社1年目の教科書』なのだ。
ちなみに、この書籍のベストセラーを受けてか、“〇〇1年目の教科書”、“〇〇の教科書”といったタイトルの付いた書籍やキャッチタイトルなどをよく見かけるようになった。
本の内容だけでなく、ビジネス書籍のテンプレートとしても評価が高かったのだ。
余談だが、私がたまに記事を書かせていただいているこのサイトのタイトルも『がん保険の教科書』だ。
世の中には、意外と共犯者が多いのかもしれない。
『入社1年目の教科書』には、何が書いてあるの?
では、この本には実際どんなことが書いているのだろうか?
あらためて紹介したい。
「宴会芸は死ぬ気でやれ」!?
今回の呟きがこれだけ多くの人に拡散された(炎上した)のは、この本に書かかれている“仕事の原則“の1つが理由。
その炎上した仕事の原則とは、「宴会芸は死ぬ気でやれ」という原則。
―「仕事も遊びも趣味も、何でも徹底してやる人は面白い。それは宴会芸も同じです。」「大げさに聞こえるかもしれませんが、宴会芸に取り組む姿勢を通して、あなたのトータルな人格を見ているのです。」
要するに、社会人は皮肉にも、仕事以外の態度や姿勢なども仕事では評価されてしまうものだから、例え飲み会の場の立ち振る舞いですら真剣に考えましょう…っていうのが、この原則の意味するところ。
これは、サラリーマンであれば、誰にでも容易に理解できる原則ではないだろうか。
ある意味、仕事の成果なんて二の次だから、飲み会で上司や仲間を喜ばせておけばOKだろ?…といった組織社会への皮肉にも感じられ、逆に心地よい。
人間社会における普遍的な真理とも言えることが、ここには書かれている。
しかし、ここ数年で、ハラスメントに対する厳しい追及や働き方改革が叫ばれる中、「宴会芸は死ぬ気でやれ」という、時代とはミスマッチなこのフレーズだけがおもしろおかしく取り上げられ、今回多くの人たちの餌食となってしまったのだ。
『社会人1年目の教科書』には、いいことがいっぱい書いてある!
このように、しっかりと内容を読めばとても良いことが書いてある『入社1年目の教科書』。
「宴会芸は死ぬ気でやれ」以外に書いている原則の一部を紹介したい。
●何があっても遅刻はするな
●「早く帰ります」宣言する
●自分にとって都合のいい先生を探せ
●仕事に関係ない人とランチせよ
●幹事とは、特権を得ること
●休息を取ることも「仕事」だ
●悩みは関係ない人に相談
●社内の人と飲みに行くな
気になった内容などもあるかもしれないが、詳しくは著作権侵害になるので書けない。
詳しくは、書籍を購入して読んでいただきたい。(メルカリで)
私が『入社1年目の教科書』を送った理由とは?
私が、この書籍を入社1年目の新入社員に贈った理由は、大きく3つ。
1.「知識より心構え」という事を伝えたかった
当時在籍していた組織では、新入社員に対して専門知識ばかり詰め込むような育成制度。
オフィスでの立ち振る舞いだったり、様々なビジネスシーンでの心構えなどを教える機会は、圧倒的に少ない…と言える環境。(詳しい説明は控えさせていただきます)
“知識よりもアウトプットの方が重要やで!”と考えていた私は、少しでも知識以外の部分で学べる機会や、少なくともそのきっかけを与えられないか?と考え、この本をプレゼントしたいと考えたのだ。
2.自分がいる会社や組織が「当たり前」と思わないで欲しかった
私が在籍していた組織は、超保守系の企業。
労務管理が厳しいため、有給も取りやすく、ハラスメントもない、仕事を急に休んでも咎められない…そんな「超」がつくほどのホワイト企業である。
一方で、給料はそこそこだが、仕事の内容は地味で刺激が少ないため転職者も多い。
しかし、そんな温い環境で育つビジネスマンが転職したところで、ビジネス最前線で昼夜問わず戦いを繰り広げているサラリーマン戦士たちに勝てる訳がない…と私は考えている。
いつか転職していく、もしくは転職したいと考える入社1年目の彼らに、ホワイトな今の環境が、当たり前だと思うなよ!と伝えたいがために、この本を贈ったのだ。
3.「本」で仕事の悩みを解決できることを知ってほしかった
今でこそビジネス書好きの私だが、社会人1年目はビジネス書など一切読まなかった。
一流の成功者でもないので、「本をたくさん読め!」と押し付けるつもりも一切ない。
でも、仕事で悩んだ時に、1人で悩んだり、すぐに同期などに愚痴るのではなく、本をぱらっと開くことで前向きに過ごせることもあるんやで…ということを伝えたい。そのきっかけになればと思い、この本を贈ったのだ。
以上の3つだ。
新入社員のためにこそ、先輩としての価値観を押し付けるな!
上記に述べた3つの理由は、どれも人事担当者としての強いエゴを感じるかもしれない。
しかし、当時の私は、入社1年目の子たちには、本気で組織で活躍してもらいたいと思っていたし、活躍すれば何よりも仕事や会社が楽しくなって、その子たちの人生も様々な可能性が広がる…と考えていた。
そう、この考えをあらためなければいけないのだ。
自分自身の価値感を押し付けることは、他人にとって迷惑なことなのだ。
この騒動を通して、あらためてそのことを実感した。
『入社1年目の教科書』は、今…?
“ゴミ”とまで言われたベストセラー『入社1年目の教科書』は、騒動後、どうなっているのだろうか?
まだ残暑厳しい7月末、騒動の当事者のひとりである私は、事の顛末を見届けるために本屋さんへ行った。
“『入社1年目の教科書』は、もう本屋さんには置いてないよね?”
“『入社1年目の教科書』、個人的に良い本だと思うけど、もう手に入らないかなぁ…”
そんな複雑な心境だった私が、本屋さんで目にしたものは…
『入社1年目の教科書 ワークブック』…!!!
そう、ベストセラーとなった『入社1年目の教科書』は、『入社1年目の教科書 ワークブック』というビジネス書籍の実践編が販売されるなど、ますます進化を遂げていたのだ…!
ちなみに『入社1年目の教科書 ワークブック』は、2018年1月発売なので、騒動の半年前には販売が開始。
きっとこの騒動に乗じ、本屋さんが話題の書籍として店頭ディスプレイに並べたのだろう。
人気者の発言が時に炎上するように、ベストセラー書籍もまた、賛否が分かれるもの。
その内容がいかなるものか?一読の価値があることは間違いない。
※私からこの本を送りつけられてしまった当時入社1年目だった“被害者”の方たちには、すでにお詫びの連絡を入れているのでお許しいただきたい。
(ライター:うっちー(@uchi3333))