保険会社のシニア人材活用は、もっとゆるく考えていいんじゃないの?

こんにちは、保険ブロガーのうっちー(uchi3333)です。

11月28日の日経新聞に、「生保シニア現役長く 定年、60歳から65歳に/「役職定年」を廃止」という記事がありました。(ー生保シニア現役長く 定年、60歳から65歳に/「役職定年」を廃止 )

記事によると、日本生命や明治安田生命などの大手生命保険会社では、定年を60才から65才に引き上げたり、一定の年齢で役職を外れてしまう「役職定年」という旧制度を撤廃するなどの動きがあり、シニアの活躍のための動きを積極的に行っているというのです。

「ベテランの皆様に引き続きご活躍いただかなければ、会社は競争力を失っていきます」という日本生命の人材開発担当者のコメントも紹介されていました。

 

近年、日本では、“一億総活躍” “人生100年時代”とも言われ、シニア人材の活用は、どの業界・業種にも注目が高まっています。

シニア人材には、豊富な知識と経験を活かし、若手の人材の育成にも貢献することが期待されているのです。

 

しかし、実際のところ、シニア人材の活用はそう簡単な話ではありません。

私は、むしろ、

活躍とかどーでもいいんじゃない?もっとゆるく考えていいんじゃないの?

…と思っています。

保険会社で働くシニア人材の働きぶりについて、実例をいくつか紹介しましょう。

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女性だらけのオフィスに孤立する男性シニア・Aさんの例

生命保険・損害保険問わず、保険会社では、すでに60才以上のシニア人材が現場で働いていますが、彼らは、孤独に陥りがちです。

例えば、保険会社では、大勢の女性がオフィスで働き、膨大な事務仕事をこなしていますが、そんな中にポツンとひとりだけ男性のシニア人材がいたりする光景をよく目にします。

仮にそのシニア人材を「Aさん」としましょう。

Aさんは、週3日ほど出勤し、出勤した日は、FAXをまとめたり、パソコンを活用しながら書類をまとめたりといった事務仕事をしています。

 

では、損害サービス部門にいたAさんが豊富な知識と経験を発揮できているかというと、残念ながら全くそんなことはありません。

当然、事務仕事やパソコンを使った作業であれば若い女性の方が得意です。

そもそも週3日しか出社しないので、本当に重要な仕事などは任されていません。

また、女性だらけの中にAさん男性ひとりですので、周りの女性たちは気を使いますし、男性であるAさん自身も気を使います。

 

そんなストレスが溜まっていたのか定かではありませんが、ある日、Aさんは、会社の飲み会で羽目を外してしまい、会社から、以後の飲み会への参加を一切禁止されてしまいました。

さらに、ほとぼりも覚めた時期、たまたま出向に来ていた若い男性が飲みに連れ回され、深夜までAさんの昔話に付き合わされた…なんていうエピソードも聞こえてくる始末。

はたしてこのようなシニア男性・Aさんは、幸せと言えるでしょうか?

豊富な知識と経験を活かせる職場は、完全アウェイだった男性シニア・Bさんの例

一方、とあるシニア男性Bさんは、これまで損害サービス(事故の示談交渉や保険金の支払い部門)に数十年携わってきたベテラン社員。

Bさんは、豊富な知識と経験を活かせる仕事として、これまで働いていた会社の子会社で再雇用されることになります。

しかし、再雇用先の子会社は、保険販売の営業部門。

完全縦割社会・セクショナリズムの強い保険会社において、これまでBさんが勤めてきた損害サービスと営業部門は、あまり仲が良いとは言えない相反する組織。

営利部門と非営利部門に溝があるのは当然ですが、Bさんは、完全アウェイな子会社での再雇用となったのです。

しかも、Bさんの役割は、これまでに前例のない新設された役割で、担当するのもBさん1人だけ。

組織の考えでは「営業部門にも、損害サービスの知識・経験を浸透させ、セクショナリズムをなくそう」といった建て前もあって、Bさんを再雇用したのでしょうが、さすがに60過ぎの“おじいちゃん”にアウェイ過ぎる環境というのもキツいものです。

本来であれば、損害サービスでの豊富な知識と経験を活かして、若手営業マンたちの保険販売をサポートする立場だったはずのBさんは、孤立し、営業で忙しい若手社員からの扱いも“説教ジジイ”のような存在となってしまったのです。

はたしてこのようなシニア男性・Bさんは、幸せと言えるでしょうか?

保険会社のシニア人材活用は、もっとゆるく考えていいんじゃないの?

豊富な知識と経験を活かして、若い人材の教育係として期待されるシニア人材ですが、その実態とは程遠いのが現状です。

むしろ孤立してしまったシニア人材Aさん・Bさんの例は、決して保険会社に限った話ではないのではないでしょうか?

企業側が、本当にシニア人材に活躍をして欲しいのであれば、彼らが力を発揮できるような環境を与える努力をしていかなければいけません。

現状では、単純に雇用先を用意することだけで手いっぱいなのです。

しかし、はたしてシニア人材が活躍できるような環境を作ることが、彼らにとっての幸せなのでしょうか?

 

そもそも、ここで言う「活躍する」の定義とは何でしょうか?

会社で活躍したい!と思うのであれば、定年後に仕事を選べるくらいに現役時代に出世して実績を作っておくべき…というのは当の本人たち(シニア人材)も理解しているはずです。

「活躍」というより、今までよりもっと気楽に、そこそこの労力で仕事したいのが彼らの本音ではないでしょうか?

つまり、企業がシニア人材に提供したい「活躍」と、シニア人材が企業に求める「活躍」の定義には大きな相違があるのではないでしょうか。

企業側は、シニア世代に忖度し過ぎなのではないでしょうか?

シニア人材が、これまでの仕事ぶりの半分くらいの力で働いても問題ないようなオフィス環境を提供することが企業側の務めなのではないでしょうか。

たしかに、企業としては「そんな人員の余裕はない!」「私たちの仕事は、そんな甘いものではない」というのが建て前でしょう。

実際、そういう業界・職業・職場があるのも事実です。

しかし、資金も仕事もある保険会社であれば、その他の大企業、中小企業に比べれば余裕はあります。

シニアを無理矢理に働かせ活躍させるのではなく、シニアへの敬意を持ちながら、シニアが楽に働ける環境を作ることこそが保険会社の役割なのではないでしょうか。

「ボケ防止のために定年後も働く」と語るシニア男性・Cさんの例

私の知り合いの保険会社員には、「ボケ防止のために、定年後もここで働くよ~」と明るく語っている現役シニア社員・Cさんがいます。

これまで、がん闘病なども経験したCさんですが、60才を過ぎた今も、これまでと同じ職場で働いています。

“人生100年”と言っても、現役時代並みに働くことができる健康寿命はそう長くはありません。

当然、長生きをすれば病気もします。

でも、また病気が治ったら、社会復帰のコミュニティの場として会社に戻れる。

そして、会社の仲間と和気あいあいと過ごし、仕事で社会貢献もできる。

…シニア世代にとって、会社がそんな場所だったら素敵ですよね。

 

シニアへの敬意を持ちながら、シニアが楽に働ける環境を作ることは、保険会社だからこそ出来る、保険会社だからこそやるべき取り組みなのではないでしょうか。